文豪語録

明治から昭和くらいまでの文豪たちの名言や名文、格言、迷言、珍言を載せていきます。

2017-04-16から1日間の記事一覧

年賀状はムダだ - 坂口安吾『明日は天気になれ』

年賀状 私の住む町の一人の郵便集配人が年賀状は人々が待っているものだからと高熱をおして配達にでて倒れた。愛すべき実在のサンタクロース氏である。 年賀状はムダだ、虚礼廃止だなどと昔から云われていることであるが、人生にムダや遊びが許されなかった…

アンコウ鍋は抜群だ。だから私もよく食った。私の名がアンゴだから - 坂口安吾『明日は天気になれ』

アンゴウのドブ煮 冬になると東京の居酒屋では「アンコウ鍋」が江戸前の肴として珍重されるが、だいたい居酒屋で食べさせる江戸前の肴は、湯どうふ、サシミ、スダコ等というものだから、その中ではたしかにアンコウ鍋は抜群だ。だから私もよく食った。私の名…

チョンマゲをつけた六尺の大男が買出に行くと - 坂口安吾『明日は天気になれ』

乱世の抜け穴 終戦後の食糧難のころ、私はこの相撲とりのおかげでうまい物が食えた。なぜなら彼は驚くべき特権階級だったからである。 戦争中に廃業したのだが、奴め終戦後も五年間ぐらいチョンマゲを落さなかった。このチョンマゲが大変な特権なのである。 …

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