文豪語録

明治から昭和くらいまでの文豪たちの名言や名文、格言、迷言、珍言を載せていきます。

2017-05-03から1日間の記事一覧

耳よりな話というものは、ろくなことがないものである - 坂口安吾『明日は天気になれ』

戦備ととのわぬ話(2) あるとき、私のところへ犬屋がやってきて、「先生は犬の通だそうですから伺いますが、柴犬やもしくは小型の日本犬はポインターなぞよりも優秀な猟犬だそうですが本当ですか」「それは訓練次第でそうなるかも知れないね」「いえ、生ま…

さきの戦争では一番タバコに困って往生した - 坂口安吾『明日は天気になれ』

戦備ととのわぬ話(1) 檀一雄が石神井というところにちょっとした小粋な家を買った。いかにも当たり前の中産階級の住宅であるが、さてよく調べてみるといろいろ風変わりなところがある。 私が泊っているうちに、夜ねていて非常に息がつまるので気がついた…

アフリカのミヤゲ物は買わない方がよいのである - 坂口安吾『明日は天気になれ』

モロッコミヤゲ物 皆さんが世界漫遊にでかけて恐らく日本人が誰も行ったことのないようなモロッコとか、さてはコンゴーのジャングルの土人から、コシマキのようなものをミヤゲに買う。天下の珍品を買ったと打ち喜んで日本へもどると、日本の女の子がそれと全…

私は戦争中日映というニューズと文化映画、宣伝映画などを作っている会社につとめていた - 坂口安吾『明日は天気になれ』

文化の序列(2) 私は戦争中日映というニューズと文化映画、宣伝映画などを作っている会社につとめていた。ここは海外への映画宣伝工作の元締めだから海外の映画もここに集まる。しょっ中試写をやって関係者がそれをみていたが、私が見たのではマレー映画と…

田舎の人は西洋の映画を見ると筋がわからない - 坂口安吾『明日は天気になれ』

文化の序列(1) 田舎の人は西洋の映画を見ると筋がわからないという。その理由は簡単なようだ。 たとえば一人の男が失業して街を歩いている、レストランのショーウィンドに求人のはり紙を見て扉を押して消える。つぎの場面にはもうコックとかボーイとかの…

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