文士というものは、筆の上で偽わることのできないのが持って生まれた性根なのだから - 坂口安吾『明日は天気になれ』

芥川賞一風景(2) ……文士というものは、筆の上で偽わることのできないのが持って生まれた性根なのだから、各選者の選後評というものを読めば、選考事情はそれで一目瞭然なのである。 しかるにそれを読んでいながら、なお選考委員会の内容を具体的に報告しろなどという批評家は、文章を読むことを知らない人間だといわざ…