文豪語録

明治から昭和くらいまでの文豪たちの名言や名文、格言、迷言、珍言を載せていきます。

2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

天草島原の乱を調べにそのゆかりの土地を見て歩いた - 坂口安吾『明日は天気になれ』

悲劇のままの城趾 私はたしか昭和十六年であったと思うが、天草島原の乱を調べにそのゆかりの土地を見て歩いた。そのとき、原城の跡がほぼ原型のまま畑になっているのに一驚したのであった。 もともとこの城は天草四郎が立てこもったときにすでに廃城であっ…

私は長崎が好きだ。長崎の食べ物も好きである。そして、チャンポンが何より好きである - 坂口安吾『明日は天気になれ』

長崎チャンポン 私は長崎が好きだ。長崎の食べ物も好きである。そして、チャンポンが何より好きである。ブタの角煮もうまいけれども、あれはそもそも沖縄のラフテとどっちが本家なのであろうか。全く同じ物である。 長崎の角煮はシッポクという宴会料理で、…

たとえばアンゴという怖るべき殺人鬼が現れて、山ツツジで人を殺したら - 坂口安吾『明日は天気になれ』

池の金魚との戦い ……そこで私は医者をおどかしてやった。 「この町に殺人鬼が現れて――たとえばアンゴという怖るべき殺人鬼が現れて、山ツツジで人を殺したら、この町の医者には死因が分らないな。よーし、次から次へと殺してやるぞオ」「おどかすのは止しな…

人間というものはハッキリと目的が定まり、それに向かって進む時がいちばん強いものである。 - 坂口安吾『明日は天気になれ』

目的を失った脱獄囚 死刑囚が脱獄したというので、その夜の東京は戒厳令下のような物々しさであったらしいが、翌日事も起さずに京都で縛についたのはおめでたい。 彼らが脱走直後誰何(すいか)をうけたときは、一人は本名を名乗り、一人は実物の外人登録証…

人間には個性というものがあって、その特別の限界の中で諸条件に相応した独自のものがなければならぬ - 坂口安吾『明日は天気になれ』

二番目は酒 お前サンはどんな酒や料理が好きか。そんなことを問い合わしてくる雑誌新聞などが少なくない。お前サンの趣味は何か、という質問が一番多い。「なにイ。バカにするな。オレの趣味はモロモロあるぞオ」 と言って威張り返るわけにもいかないからも…

銃後に原バクがチャンと落ッこッてる今日の戦争において、兵隊と銃後に変りはない - 坂口安吾『明日は天気になれ』

楽天国の風俗 ……新国軍の誕生だの徴兵是非などが新聞雑誌に論議されてワイワイ世論をまき起しているけれども、銃後に原バクがチャンと落ッこッてる今日の戦争において、兵隊と銃後に変りはない。むしろ日本のようにせまい国土においては、もうどこにいても水…

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